2019年07月25日 11:27

チビアマガエルの働き

2019.8.1 チビアマガエルの働き
 
 甘く軟らかな枝ブロッコリーは虫にとっても心地よい香りと美味しさを秘めた野菜のようだ。防虫ネットが風にひらひら揺れると、その瞬間に虫たちは隙間からネット内に入ってくる。チビアマガエルもその虫を追いかけて入る。2センチにも満たない可愛いチビアマガエルが一株に23匹も棲みつき虫を捕食する。真っ白な防虫ネット内はカラスなどの天敵に襲われる心配もなく、しかも緑の保護色は人眼でさえ見落とすほど見事な擬態色である。
防虫ネット内はチビアマガエルの餌となる小さな虫が無数に飛び回り腹を満たすには不自由しない楽園で、前足は指4本、後ろ足は5本の指を持ち、それぞれの指には丸い吸盤があり垂直に昇り降りも自在である。ジャンプで隣の枝葉に移るのも上手いものものだ。じっと覗いていると照れくさそうに横を向くが目玉だけはこちらを向いて何かを言っている。その仕草は人間の赤子のようで真に可愛い。
 やがて枝ブロッコリーの収穫が終わり防虫ネットや残差を片付ける段には、チビアマガエルたちを天敵の少ない安全な場所へ移してやらねばならない。近くにはカラスの夫婦が目ざとく獲物を探しており見つかったらそれこそ食物ピラミットの図式にされチビアマガエルの一生は終りだ。
チビアマガエルの補虫のお陰で美味しい枝ブロッコリーを食べられた事に感謝し安全な場所に移すのだが、こちらの気持ちなど通じないものだから逃げまわるのを追いかけ森に追いやる作業も結構苦労だが喜びも半分加わり遊べるひと時になる。
 農場内に共生する生態系が豊かになると、命の賑わいだけでなく野菜の生長にも良い結果が現れる。数年前虹色クラブの人たちと小さなビオトープを造りドジョウを放し蓮の花や睡蓮を植え、そこにカエルやトンボが産卵し、イモリまで棲みつき賑わいの水辺となった。数年経つとカエルやトンボが増え、生態の環境が農場内にまで拡がり野菜も健康に育つようになった。小さなビオトープの生き物たちも間接的には野菜づくりに参加した。これは自然の姿なのだと環境の在り方をチビアマガエルとトンボから教わる夏となった。
 
 
2019.8.1  生態系の乱れで
 丸やひし形の小さな種子を見て、面白い・不思議だ!、と感じた経験を持つ人は多かろうと思う。
私も子供のころ、まだ遺伝子などと云う言葉を知らない時分に、こんな小さな種が、どうしてあんなになるんだろうと不思議でならなかった。小さな種が大きな野菜となり、花の種はきれいな花を咲かせる。種だけを見ても何の種だかさっぱり想像もつかないが、その種の中には先祖の遺伝子がぎっしり詰まり、親と同じ姿になって再生されいつまでもつながって生きる。本当に魔法の一粒である。
 地球には500万~3000万の生物種がいるそうだ。その生活圏の生態系が少しずつバランスを崩していると研究者たちは嘆いて警鐘を鳴らす。バランスが崩れてしまうと一体、我々の生活にどんな影響が出るのか、何となく想像はつくが、まだ誰も知らない。開拓当初の山形山農場の生態系を想い出すと、譲り受けたころは山を切り崩したガレキの荒れ地でミミズもモグラもネズミもいなかった。何故なら、ミミズの餌となる土壌微生物がまだ棲みついておらず食物連鎖の食物ピラミッドが形成されていなかったからで。
そんな荒廃したところに種を蒔いても未熟野菜と奇形野菜しか育たなかったのを無知の中で経験したことを覚えている。勿論、有機農業には不向きな農地であった。有機農業の条件は農地の生態系がバランス良く整っている事が鉄則だからで。(今は大丈夫)
 また十数年前、ネオニコチノイド系農薬が原因と思われる事件が起きた。この農薬は殺虫効果が高いことから世界中で使用され、その後間もなく蜜蜂の大群が神経を侵され大量に死んだ。その結果、蜜蜂の媒介で受粉する果実や牧草等の虫媒介作物の生産量が減り、果実や乳製品に品薄が起り価格が跳ね上った。花に群がる昆虫が減少し生態系が少し狂っただけでも食品価格に直ぐにはね返った。もし海洋で動物プランクトンが大量死したらいったいどうなるだろうか。安定した食生活環境で充実人生を送るためにも、もう少し自然に対する細やかな気配りが必要な時代に入っているようだ。

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