2018年11月30日 15:24

至福の味

2018.12.1  福立ちの歓び
 甘く稔った白菜を食べたいと思い、植えた小苗をコオロギから守ってやらねばならない大事な時期に肺炎を患い入院した。期間はたった一週間だったが畑に出るまでに3週間も要した。その間、苗はコオロギに襲われ見る影もなく食べられた。しかし中には再生能力が驚くほど強いものがあり株元から小さな芽を吹き出している。食べたい一心で植えた白菜のその再生芽にもう一度期待をかけ希釈したアミノ酸やミネラル液、有機酸溶液を葉面散布しながら“ガンバッテ”と毎日声をかけてやった。
 結果、復活したのは半分ほどだったが降雪前に結球するには日柄が足りない。それでも淡い葉は懸命に光合成をやっている。堆肥の養分を吸い、葉面からは太陽の光りを残さず取り込もうと、ひまわりのように太陽の方角に30度ほど躰を傾け全身で弱い秋の陽ざしを吸収していた。そんな健気な姿は何十年の就農生活の中で初めて見る光景で、その姿に気づいた時、胸を打たれてしまった。白菜はただ種の継承のために生長しているハズなのに、何故か私には、米山のためにガンバっているように映ったのである。誰もいない静かな農場で一株一株に手をかざしよし良しと声もかけてやった。そのお陰か完熟までは至らないまでも結球を始めた株が数百個ある。植物は人間の手などが触れると、その刺激がもとになって栄養生長を止め、生殖生長ホルモンが働き成熟を早めるというのを思い出してやって見た。(栄養生長とは躰を造るための体細胞形成期・生殖生長とは子実を作るための成熟期)
 もし仮に収穫が間に合わないとしても、白菜は来春に種を子孫に繋ぐため、やわらかな芽を再び吹き出す。その芽を私の田舎では『福立ち』と呼んで感謝しながら食べてきた。春一番の福立ちは甘味をしっかり蓄え、丸々太った姿で白菜の芯からニョキニョキと芽吹き、まさに福立ちの名にふさわしい恵みとなって野菜不足の春の食卓を潤し私たちの健康を培ってくれた。豚肉やベーコンなどと一緒に強火でサッと炒めただけでその味は際立って美味しく魅了されてしまう人も多い。
甘く熟した白菜を鍋に入れて食べたかったが1123日の初雪から結球活動は減速してしまった。それは残念だったが、福立ちの芽はマーケットに出る機会のない珍しい自家用野菜、その恵みの福立ちを春にはみなさんにお届けしたい。
 


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