2018年05月

2018年05月05日 06:00

2018.5.1  役割を終えた開拓者の家

山形山農場の古家の玄関が雪に押しつぶされた。切妻の母屋からなだれ落ちた雪の衝撃で前のめりに倒壊した。
 今年の雪は重く早々に一回目の雪を下ろし、数日後、二回目に行くと母屋の壁からもぎ取られた玄関は雪の下に埋もれていた。この家は日本政府が戦後の食糧増産のために軍務を終えて帰郷した妻子ある次三男坊を開拓者として住まわせた住宅である。
次三男坊夫婦は自己負担金5万円を拠出しただけで小さな家と荒れた原野を与えられ、開拓者となって雑木を切り、山をくずし水田を拓く、斜面には桜桃とぶどうを植えた。入植当時は新築の家と土地が手に入り若い夫婦は希望に満ちた生活に入った。いざ開墾が始まると思いのほかの重労働に辛酸をなめる思いの日が続きリタイアしようと幾度も妻と話したらしい。もし5万円の借金と幼子の笑顔がなかったら、俺たちは辛苦に負け離農したかもしれない。妻を亡くし跡継ぎも住まない古家で90の古老は開拓人生を語った。 
国から与えられた家は玉石の上に土台を乗せただけの簡易住宅、しかも敷地は粘土質で水分を含むと家は雪の重みで、乾きの遅い北側の玉石は粘土に食い込み家ごと傾いてしまう。その傾きの角度が大きくなり玄関は母屋から剥がされ崩れ落ちた。その大まかなところはユンボで片づけ、細かな部分は手作業で修理と並行しながらやっている。この家と同じように全国の開拓者たちも玉の汗をかきながら戦後の食糧難の解消に働き飽食の国へと導くための人生であったろう。その役割を終え、人も家もうたかたとなって逝く開拓部落、片づけながらジーンと響いてくる。「月天心貧しき村を通りけり 蕪村」
その山形山農場に遅い春が来た。雪解けが終わり草木は急ぎ花をつけ、ヤマブキは花穂を伸ばし、ワラビやコゴミ、木の芽、タラの芽も一斉に芽吹き短い春を取り戻している。秋に植えたニンニクも伸びた。ニラやアマドコロは収穫できる大きになりお母さん方の手で摘み取りが始まった。3月に播種した苗も間もなく山形山を訪れる会員さんの農業体験で定植され7月半ばには馥郁なキャベツとなってみなさんの食卓にお届け出来る。
小鳥の囀りに、今日また腰を折る。


ギャラリー
  • コメと野菜と鶏卵と
  • 色の濃い葉物野菜は危ない
  • 食はいのち 希望を語り学ぶ
  • 感謝と涙の一年でした
  • ウバユリの願い
  • 大粒でうまいコメが誕生  『新開発米 やまがたびより・元気長寿米』
  • コオロギの食欲に脱帽
  • 試食で味を高める
  • 美味しい野菜は高栄養価