2018年03月

2018年03月28日 12:16

2018.4.1  小さきものはみなうつくし
 小さなものが健気にがんばっている姿を見ると声をかけてしまう。何も何も、小さきものはみなうつくし(かわいい)、と言った清少納言の感性の通りである。ほんとうに小さなものはみな魅惑的な可愛さを持っている。春はさまざまな生き物で賑わう季節。数年前オオルリが78羽飛来したときも雅な姿に感動してしまった。山形山はまだ50センチの残雪の中にあるがマンサクの花が咲き、ヤマザクラやコブシも芽吹き小鳥もやって来た。間もなく雪の栄養をたっぷり吸い取った大地が現れ農作業も始まる。
そば殻や米糠、粉炭もミネラルも撒き、アミノ酸肥料を施し、使い慣れたトラクターで畝をたて、マルチをかけてミニ苗をそっと植える。今年も種まきはお母さん方に手伝ってもらった。良い苗は良い野菜に育つことをお母さん方は知っている。野菜の出来不出来も苗が鍵であることも心得ている。だから何の指示もしないでも一粒一粒丁寧に蒔き、水をやり温度管理まで愛情込めてやってくれる。
ミニ苗は山形山農場で大きく育ち、7月になると配送センターに帰ってくる。手塩にかけたミニ苗の生長を見てお母さん方は毎年万感を抱くようだ。まさに親心である。今年も良い天気に恵まれ立派な野菜に育ってほしい。苗づくりをプール育苗方式に切り替えミニ苗にしてからは全体の作業が楽になった。ミニ苗の床土はアミノ酸肥料と木炭粉を数パーセント配合し、本葉45枚分の栄養(弁当)を持たせ128穴の育苗トレイに詰める。その後、鎮圧ローラーでしっかり押し固めてから種を蒔く、こうすることで発芽後の根張りが緊密になり良い苗が出来る。
 根張りの良いミニ苗は定植後の畑にも馴染みが速く水やりも23回で済む。その後は自力で栄養吸収し見る見る間に大きくなって行く、普通の苗より細胞分裂が速いので罹病の心配もいらない。ただ虫には注意が必要で食害に遭うと葉の光合成面積が小さくなり生長のスピードが落ち病害虫の攻撃を受けやすくなる。定植後は直ぐにも防虫ネットを張りミニ苗を守ってあげなければならない。
  
 いついつと待ちし桜の咲き出でて いまはさかりか風吹けど散らず  若山牧水
  けふの日もサクラの花にさす陽かな  本歌取り
 


2018.3.1  わくわく苗づくり
 雪解けの水が小川に満ちてくるとネコヤナギが芽吹きだす。いよいよ山形山農場の種蒔きも始まる。今年も評判の良い品種を蒔くことにした。キャベツなら渡辺採種場の『楽園』がいい、小気味いい芳香を放ち夏の暑さを吹き飛ばすシャキシャキ音が際立って涼しげなことから人気が高い。そしてナスは『黒べえ』ほんのり甘く瑞々しい果肉は炎暑でも食欲をかきたてる味覚しっかり潜ましている。焼きナスは何本食べても足りない旨さを持ち、マーボーなんかもいい。ニラなら『たいりょう』が旨い。幅広の葉はほのかな甘味を持ちお浸しにするとその旨さが分かる。ニラのお浸しは決して茹で過ぎないこと、新ニラなら15秒前後がしゃりしゃりっとした感じでいい。玉子とじは子供たちの大好物、疲れを癒すニラ料理は免疫力を高めるおかずとしていつも食卓にあって欲しい。夏の薬味は何といっても九条ネギが一番、さわやかな芳香とやさしい緑のコンビネーションはさっぱり系の冷麦の無味をきりっと引き締めながら麺の旨味を引き出してくれる。
 コリンキ―の美味しさも最近は認知されつつあり作り甲斐が出てきた。コリンキ―の魅力は歯触りの心地よさだけでなく、咀嚼音の音楽的なところがおもしろい。その特性をもう一口奏で、かみ砕く音色を楽しめる野菜である。カボチャは『ダークホース』がいい。ぽくぽく好み人にはたまらない至福の時をもたらしてくれる。
美味しくて安全な野菜を作るには適地適作を原則としなければならない。環境に適した種子は病害虫への抵抗性も強く、遺伝子の持つ防御機構が働きやすく、有機農業には鉄則の定石と思っている。偶然にも幸いなことには、山形山農場と同じ緯度に実験農場と研究所を構える渡辺採種場があり、その同緯度の会社の種子を蒔き山形山農場は何十年も病気に悩まされることもなく野菜を育てる事が出来た。 
33年前にも偶然があった。都会から天童市に移り住んで間もない頃、山形山農場の話が持ち上がり入手する事が出来た。しかも隣接する農地とはかけ離れ、農薬の飛散を心配する必要のない農地だった。これならどこよりも安全な野菜が作れると二つ返事で決めたのを覚えている。いくつかの偶然が重なり、みなさんとの関係も築くことが出来た。この偶然に感謝しながら野菜づくりをやってきた。今年も美味しい野菜を目ざして種を蒔こう。


2018.2.1  オリゴ糖と整腸作用とは
 安心工房はお惣菜の甘味料を砂糖からオリゴ糖に一部切り替えることにしました。オリゴ糖は砂糖に比べGI値(食後の血糖値の上昇度を示す指標)やカロリーが低く血糖値の高い人や生活習慣病を心配する人たちにも効果が期待できるようです。腸内ではビフィズス菌の栄養となり、ビフィズス菌は腸内環境を整える善玉菌として成人病やガンの予防、老化、アレルギーなどのリスクから身体を守る大切な菌として働きます。それでも腸内には病気を引き起こす有害菌がたくさん生息しており、それを撃退する免疫細胞が体中の70%も腸内に動員され駆除に当たっているようです。従って大腸内には病気の根源となる有害菌が多く棲みついており、食べる健康と排出しての健康の両面から気配りする必要があるようです。
オリゴ糖はビフィズス菌を活性させ整腸作用に働き排便効果も高いことから、安心工房では『安心なお惣菜をより健康的なお惣菜』として、また腸内を整える食養生食品としてオリゴ糖を使用しました。
オリゴ糖の供給先は、明治政府が北海道開拓の基幹産業として甜菜糖製造を推進した当初から営んで来た日本甜菜製糖株式会社にお願いしました。オリゴ糖は数種類に分類されますが、その中でも甜菜から直接抽出した天然ラフィノースオリゴ糖は胃や小腸では消化されず大腸まで届き腸内の環境を整える作用をしております。
★詳しくは、http://www.nitten.co.jp/raffinose.htmlご覧ください。
 
 オリゴ糖で作ったお惣菜は健康に良いだけでなく食感もやわらかく優しい味になります。そのような事でみなさんのご家庭においてもオリゴ糖の使用をお勧めします。肉や魚の煮物、焼き物などの照り映えが良く、食欲を高めるお料理になります。また、食パンやコーヒー紅茶、お菓子なども様々な食べものに相性が良く、体調の改善も楽しめるオリゴ糖です。  
リンゴをコンポートにしたところ、砂糖煮とはひと味違うなめらかな味を発見しました。また生リンゴに付けても美味しいのが分かりました。みなさんのご家庭のスタイルに合わせ、新しい味覚に取組んで頂きたいオリゴ糖です。味の新発見は生活を豊かにするうれしいものです。ラフィノースオリゴ糖は免疫力を高める食養生食品として、特に免疫力の弱い赤ちゃんやお年寄り、そして妊婦やお通じで悩んでいる方、肌荒れを気にする方、どなたにも毎日召し上がって頂きたく思います。「食べ過ぎるとお腹が緩むので適量です」
お申し込みは、全有連or安心工房へご連絡ください。


2018.元旦 雪五尺
 今年も一年、若い心で働けるよう祈りながら新年を迎えました。みなさんにおかれましても良い一年でありますことをお祈り致しております。最近、恒常的に温暖化や異常気象が発生し食糧生産に影響を与えているのでは? そんな心配の声が寄せられました。確かに動植物や魚類の生活圏を示す南限や北限の移動が見られるようです。
日頃、食べている国産の農産物や畜産物、それに養殖魚などは深い知識と高度な技術で生産されており大きな収量の減収は考えにくいですが、自然界に生息するいわゆる野生の動植物や魚介類にはその傾向が現れ、特に魚種によっては漸減しているものもあるようです。
 山形の雪の中での生活もちょっと大変ですが、大雪のもたらす恩恵は生活の不便からは測りしれないものがあり、その恵みは大地を潤い、作物を育て、山や川も海までも元気にしているありがたい雪です。雪に生かされ、雪に感謝する生活も、まさに、これがまあ終のすみかか雪五尺(一茶) というところ
全有連の農家たちも耕作地の物理性を高め、そこに棲む微生物や小動物を増殖し、土壌の再生産力を高める有機農業を進めています。おそらく急な気候変動に襲われても緩衝力を持った土相は、たやすく崩れ散ることもなく生産量を維持する力を保持していると思います。と云うのも米パニックが起きた1993年の大冷害にも被害を受けなかった田畑があり、有機農業を営む星寛治さんがその田んぼの地温を測ったところ慣行田に比べ3度も高かった。理由は微生物の生命活動が根圏を恒温に保つ働きをした事で平年並みに育ったと言っていました。異常気象の中での安定生産を目指すためにも有機農業の広がりにもう少し加速を願うところであります。
さて昨年は、コンニャク芋と落花生に挑戦、『刺身コンニャク』や『塩茹で落花生』が如何に美味しい食べ物であったかを確認しました。今年も作ります。ただスローワークのため希望される会員さんのみにしたいと思います。早めにお申し込みください。
唇を芹雑炊が焦がしけり  普羅


2017.12.1  楽しみはその中に
 私の心を支えている二つの座右の銘は、『楽しみはその中にあり』という言葉と『之を知る者は之を好む者に如かず。之を好む者は之を楽しむ者に如かず』この二つのことばが体中に染入ってから、農業は勿論のこと自然との関わりや日常生活も弾むようになった。
有機農業は耕作地を持続的に可能にする事を原則としており、堆肥を入れ、田畑を耕し、微生物を増やす。この流れは農地をいたわるもっとも重要な作業で少しでも怠れば作物は病害虫に侵され有機農業は成立しなくなる。言いかえれば私たちの朝昼晩の食事もしっかり摂らなければ、やがて体力は衰弱し病気になってしまうのと同じように、田畑も栄養のバランスを考えずに偏った有機物だけを入れ続けると、やがて不健康な耕作地となり本物の作物はできなくなる。
今、山形山農場は有機物を発酵させながら春まで滋養期に入っているが、その発酵と熟成の立役者は目には見えない微生物の活躍であって、有機物が分解し豊かな耕作地となった春にはミミズやネズミやモグラが大繁殖し、そこにタヌキや鷹や小鳥が集まり子育ての餌として捕食する食物連鎖の光景が見られる。まさに大自然の生態系と同じ営みが山形山農場にも展開されていることはドラマです。
今年も良い作物が育ってくれた。滋養豊かなニラが雪解けと共に芽生えアマドコロも豊作だった。40人の保育士さんたちが定植したキャベツやカリフラワーも病害虫をはね返しながら見事に育った。ニンニクもナスも聖護院大根も全ての作物が有機農業の環境が整った畑ですくすくと生長した。もしコオロギがもう少し少なかったら、あの柔らかで甘くトロリとなめらかな白菜を山形山農場に何千個植え、みなさんに毎食食べて頂きたいところだが、コオロギがクモの子の如く繁殖し秋白菜を栽培するまで至っていないのが残念でならない。
天候の不安定な一年だったがイネも野菜も果物も各生産者がガンバってくれたお陰で、みなさんに大きなご迷惑もかけずにすみました。山形山農場は休養中ですが、里の人たちの寒締め野菜は春まで続きます。その美味しさを堪能して頂きたい。
いくたびも雪の深さを尋ねけり  子規


ギャラリー
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