2015年11月
2015年11月20日 17:21

無臭ニンニクの芽吹き、来年8月にお届け
うまい野菜には反応が早い。春先のニラやアマドコロ、小カブ、山菜といった物や初夏のキャベツやカリフラワー:真夏のナスやトマト、インゲン、ピーマン:秋は白菜に聖護院大根に小カブなど、美味しかったと云う,便りが直ぐに返って来るから嬉しい。
みなさんの便りで、体に活が入り今年もがんばる事ができた。美味しく,、体にいい野菜を育てるには、農業を産業にはせず、命そのもであることを意識しながら母性で育てる農業を心がけている。母はいつも子の健康と成長を願い栄養バランスの整った食事をつくる。農業も同じで健康な野菜づくりは、土壌の構造や栄養素についても常に気づかいながら栽培しなくてはならない。食卓に毎日30種以上の食べ物があるように、野菜もそれだけの栄養を施すと病気知らずに育ってくれる。
20数種類の栄養素の配分には葉色や根張りを観察しながら施肥量を決め、肥料の量は与えすぎても少な過ぎても良くない。栄養の吸収力は温度や天候によっても違い、過去の天気や明日からの予報にも注意を払わなければならない。また、ヒトのJI値と同じで消化吸収されやすい物、吸収されにくい物をバランス良く施してやることが肝心で、特に果菜類やニラなどは収穫期間が長いため、途中で体力を消耗し根や葉が弱まることもあり、毎日観察しながら強剪定をしたり、追肥と灌水をする。
12月の山形山農場の野菜は、雪の中で休養し熟成が進む、春にはニラもアマドコロも蜜のような甘さを持って芽吹き、言い尽くせない美味しさになる。この味を楽しめる人は少ないがみなさんにはお届けしたい。
今年もみんなの声に励まされ、野菜づくりの喜びを増幅させた。また草取りの援農に参加してくれた人、山形山クラブの人たちの手伝でキノコの植菌やトトロが出そうな古家の傾きをジャッキーで直してみた。春から秋までの各種イベントには多くの人たちが参加し田舎料理を舌鼓しながらの談話はことのほか楽しかった。
山形山農場は優しい自然に包まれ、小鳥や昆虫、植物が豊かに生息し、癒しの空間にある。ぜひ遊びに来て、野菜や山菜を摘みながら、思いがけない発見を楽しんでいただきた。
母さん知らぬ草の子を、何千万の草の子を、土は一人で育てます。みすゞ
2015年11月06日 06:49

静心荘の夕暮は紅葉に輝き
清少納言のあふれる感性にはいつも感動させられる。秋の夕暮れほど、しんみりと、うっとりさせられる景色はない・・・朝露に輝く紅葉の美しさも格別なものだが、夕日を浴びている紅葉にはかなわない。清少納言を想い浮かべながら今日も錦秋の紅葉を満喫した。銀杏は黄金色にヤマモミジは赤や橙や黄色に染まり、カエデもコナラも山桜もヌルデも草紅葉も饗宴する秋。
あざやかな紅葉が山野を染めたつくした秋であったが、野菜の生育には過酷な年であった。野菜の生長は五風十雨と季節ごとの気候が整い揃った年は持ち味の遺伝子が活性し美味しく育つものだが、不順な天候にあたると、その持ち味を出せずに味覚の落ちる物や収穫期が遅くれて悪くなるもの、作柄にもバラつきが多く表れ可哀そうな野菜になってしまう。
露地野菜は天候に左右されることを見越して栽培しているものだが、いざ、日照りや干ばつが長びくとオロオロしてしまう。カボチャなど少雨を好む作物は豊作となり美味しく育つが、殆どの野菜は好湿生なのでナスやサトイモなどは苦戦を強いられる。インゲンやピーマン、オクラなども生長が止まり伸びることができなかった。
しかし、面白く嬉しい出来事もあった。真夏の高温を好むピーマンが涼しい9月に入って元気を取り戻し11月になっても、成り続けている。しかも、その味は最盛期の味覚と変わりない。むしろ糖分は高い。こんな現象は農場開設以来の事で原因を探ってみると干ばつ時に水を求めた根が土中深くまで伸び、温かい地下水を吸い揚げているので元気になっているようだ。
干ばつと関係はないが、特に残念だったのは白菜だ。毎年美味しいと言われながら栽培することができなかった。理由はコオロギだが、白菜の幼苗を好むコオロギは定植すると間もなく、何処からとなく大群が押し寄せ若葉をバリバリと食べつくしてしまう。それはまるでヒッチコックの「黒いジュウタン」のバッタの襲撃で大地が真っ黒い地肌を表す。コオロギは防虫ネットの下から土を掘り侵入する。