2018年09月02日 02:46

2018.9.1  陪審員の正義のこぶし

 遺伝子組み換え食品に不安と恐怖を覚える人は多いと思う。遺伝子組み換え種子と農薬をセットで販売するモンサント社が日本円で約320億円の損害賠償金を支払うようカリフォルニア州の裁判所が命じた。訴えたのは46歳のジョンソンさん、彼は学校の校庭を管理する雑草取りや整備作業をやっていた。モンサント社が開発した除草剤を長年使用したのが原因で悪性リンパ腫に罹り末期ガンになったと訴えた。陪審員は原告のその言い分を認め、モンサント社に対し危険である旨の説明を十分していなかったとして2018810日に支払い命令の判決を言い渡した。

 遺伝子組み換え作物の安全性については研究者や研究機関も除草剤の成分であるグリホサートに発ガン性があり製造の中止と使用の禁止を唱えていた。 国際がん研究機関もヒトに対して発ガン性があると警告している。この判決を起点に世界中の遺伝子組み換え作物がなくなり、食卓から消える事を多くの人は望んでいる。

 残念なのは、日本が遺伝子組み換え食品を大量に輸入していることで、除草剤耐性を持った作物や殺虫毒性を持つ作物が陸揚げされ、加工された食用油や乳製品、醸造酢、正油、ソース、みりん、コーンフレーク、生肉の果てまでも数えきれないほどの商品が店頭に並んでいる。これ等の商品には遺伝子組み換え表示がされていない。だから私たち消費者にはまったく分からない。

 その理由は表示法に問題がある。遺伝子組み換えで生成したタンパク質が加工の段階でアミノ酸などに変性してタンパク質の検出が困難だとして表示義務から外されている。そのために私たちは遺伝子組み換え食品を大量に食べている可能性がある。また加工原材料が重量に占める割合が上位3番目以内で、しかも原材料に占める重量の割合が5%以下であれば表示する義務はないとしている。
 それでは表示義務のある食品はと云うと、大豆、豆腐、豆乳、納豆、味噌、大豆もやし、大豆の煮豆、じゃがいも、ポテトスナック菓子、冷凍じゃがいも、とうもろこし、コーンスナック菓子、ポップコーン、コーン缶詰、コーンスターチ、生パパイヤ、ドライパパイヤなどの一部のみ。

 因みに、遺伝子組み換え食糧の輸入量は、http://tenkabutsu.com/gmo を参照
 ・とうもろこし  1500万トン輸入のうち 1300万トンは遺伝子組み換え 87
 ・大豆      300万トン輸入のうち  270万トンは遺伝子組み換え 90
 ・菜種      240万トン輸入のうち  200万トンは遺伝子組み換え 83

●食は養生の基であり、遺伝子組み換え食品はいつか健康被害をもたらす可能性がある。八百八病は体調が崩れた時に出ると言うから自己免疫力だけは高めておきたい。
旬の野菜は免疫力や抗酸化力、解毒力、排出力、を多く持っているのでご参考に。
 ・免疫力の強い野菜→レタス・白菜・小松菜・法連草・ブロッコリー・茄子・胡瓜  
 ・抗酸化力の強い野菜→イチゴ・ブロッコリ‐・ほうれん草・コマツナ・ピーマン
 ・解毒力の強い野菜→ ニンニク・ニラ・ショウガ・わさび・ネギ・キャベツ
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2018年07月27日 14:59

2018.8.1  露地野菜の悲鳴
  露地野菜はいつでも危機に直面している。カリフラワーの稚苗が育苗中に低温に見舞われたのは本葉が出て間もない頃であった。そんな小さな苗が10℃ほどの低温に出会っただけで子孫を残すための準備をやり花蕾を付けたのである。原産地の地中海においてカリフラワーは過去に低温による死の危機と出会い、低温の危険をお覚え遺伝子に組み込んだのだろうか。そうで無ければ小さな苗が花芽分化などするはずがない。同時期に蒔いたキャベツも地中海原産であるが、こちらは低温の影響を受けることなく順調に育ち美味しいキャベツに成長した。

 露地野菜の悲鳴は、今月も猛暑と干ばつの狭間で葛藤している。連日の干天が続き畑は土壌水分を奪われどの野菜も瀕死の状態で頑張っている。勿論、早朝の水遣りは栽培者の責務として当然やっているが、それでも正午ごろにはあまりの暑さにカボチャの葉は気孔を閉じ破れ雑巾のようにだらりと力なく垂れさがる。これでは光合成どころか自分の体を支えるのも大変な状態、当然デンプン形成も弱まり味がぎっしり詰まったポクポクのカボチャはとうてい期待出来ない。アマドコロの厚い葉も黄色をおびて来た。ニラや九条ネギは葉先の細胞を壊死させ水分蒸散を抑えて頑張っている。お天道さまに従うしかない山形山の路地野菜だが夜だけは快温で心地よいのだろう朝になるとみなハツラツとした姿で挨拶してくれる。

 もはや異常気象が当たり前となった最近だが、その原因が文明によるものだとしたら、人間の英知で開発した便利な諸々の道具や機械類は間違っていたことになる。かつてカナダの12才の少女、セヴァン・スズキがリオサミットの国連会議の場で学者や世界の指導者たちを前にして、大人のみなさんたちは壊した自然をどうやって修復するのか知らないでしょう。これ以上壊し続けるのはもうやめて下さい。と訴えたスピーチは余りにも有名で伝説となった。

 先日の九州や四国、中国、近畿地方での猛烈な豪雨で尊い命を奪い甚大な被害をもたらした。また異常進路をとった台風12号も、そして今日の猛暑と干ばつも、大地や海洋に生きる全ての生命が悲鳴を上げているのも。12才の彼女はこうなる事を見通していたのかもしれない。異常気象の本当の原因は人間の行き過ぎた文明によるものだとしたら、やがては異常気象が増々エスカレートし私たちの食べ物でさえ危ぶまれることになりかねない。
 
 


2018年06月25日 05:55

 
2018.7.1  
 植物の体は本当に良く出来ている。どこを切られても、折られても平然と生き続ける再生機能を備えた高等生物である。だからこそ植物は地球上のヒトを含むすべての動物の食料となる宿命にありながら、絶えることなく繁殖を続けている超進化した生物と言える。それだけに生息場所に大きな環境異変が生じるとDNAが俊敏に作動し子孫造りの行動を取る。

特にカリフラワーは、原産地が地中海にあり地中海温度帯を大きく下回ったりすると急きょ栄養生長を止め、生殖生長に切り替わり、子孫を残す方向に切り替えて花芽分化を発動させ花蕾を付けてしまう。栄養生長とは身体を造るための栄養を吸収し生長する期間であり、生殖生長とは子孫を残すための種子を作る期間を言う。本葉3-4枚のカリフラワーの稚苗でさえも低温に襲われると花蕾を付け子孫の継承に走り出す。このような稚苗にも遺伝子が組み込まれていることを知ると改めて種の継承の尊さを感じてしまう。

 山形山農場の4月の育苗期間中にその恐怖の低温が稚苗を襲う日が数日あった。その結果、生殖生長が始まり花芽分化にスイッチが入り定植前の5月上旬には1000株の苗の2株に花蕾が形成されていた。大丈夫であって欲しいと願いながら残った苗を定植し見ると1週間後には殆どの苗に小さな花蕾が付き始めている。本来ならば定植後70日で真っ白な花蕾を持つカリフラワーに育ちコリコリの歯触りが美味しい野菜になっているはずが、5℃以下の気温が5日あっただけで、まだ幼いカリフラワーが将来の寒さに危機を感じとり花蕾を付けたのである。

 植物とは誠に生育環境に用心深く、水と酸素と温度の3点がマッチしない限りガンとして発芽はしないという。それに低温に対しても過敏過ぎるほどのセンサーを持っている。そんなことで野菜の栽培には原産地をいつも気に留めながら種子を選び、種を蒔き、定植、管理、全てに気配りしていた積りだったが、何年も作り続けたカリフラワーがこんなにも用心深くデリケートなDNAを持った野菜であったとは、わが人生をふり返りながら『種の継承の重み』を考えさせられた。
 サムサノナツハオロオロアルキ 賢治
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